追突事故を起こしてしまったのですが、被害者から「事故歴がついたことにより自動車の評価額が下落するからその分も補償して欲しい」と言われてしまいましたが、支払う必要はあるのでしょうか。

設問のような損害を評価損、あるいは格落損といいます。

評価損が生じうる場合としては、(1)修理が一応終了したけれども、完全に修理しえず自動車が事故に遭う前に持っていた機能を含めた使用価値が下がりそれが自動車の価値の低下を伴う場合、(2)自動車が持っている機能は回復したが、外板や塗装面に補修跡が残るために自動車の価値が低下する場合、(3)完全に修復はなされたが、事故車が嫌われるために自動車の価値が低下する場合が考えられます。

まず、(1)の場合には損害が現実化していますので損害賠償が認められることに問題はないと思われます。

この場合には、当該車両の事故時の時価と修理後の価値との差額が損害となります。

次に、(2)の場合についても、自家用車などある程度美観も重視される自動車では同様に損害賠償が認められると思います。

(3)の場合ですが、これが最も争われるケースです。

このケースについては、本来あるべき価値・価格が事故によって減少していないのであるから、仮に計算上価値が減少した場合でも下取交換等によって損害が現実化しない限り損害賠償の対象とはならないという考え方があり、この見解に立つ裁判例もかなりあります。

これに対し、修理によって完全に直っていても、また現実に使用価値の減少がなくても、現実に中古車市場で事故歴のある車は価値が低下し、中古車業者は公正競争規約によって修復歴の表示が義務付けられていることなどから自動車の価値は明らかに減少しており損害賠償が認められるとする考え方があり、この見解に立つ裁判例も多いです。

(3)のケースで評価損を認める場合、賠償額の基準が問題となりますが、修理費を基準としてその何パーセントかを損害と認める方式が裁判例でも多いです。

修理費に対する割合については、新車に近いかどうか、高級車かどうか、という要素が考えられます。

したがって、設問の場合も、被害車両について上記要素を考慮して損害の有無及び賠償額を検討していく必要があると思います。


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