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死亡事故・被害者請求をするかどうかの判断は?
死亡事故の場合にも、被害者の遺族は、自賠責保険に対して被害者請求をすることができます。この場合の損害賠償額は、3,000万円が上限となっています。
経済状況による判断
死亡事故の場合に被害者請求をするかどうかについては、まず第一に、近い将来の経済生活の状況を考えます。
例えば、一家の大黒柱が交通事故で死亡し、生命保険金も入ってこないような場合、家族は一瞬にして路頭に迷ってしまいます。
そのような場合には、とにかく自賠責保険に被害者請求をし、ある程度まとまったお金を得て、生活を安定させ、その上で任意保険会社と示談交渉をする必要があります。
財産があったり、生命保険金が入ってきたりして、経済生活にある程度余裕がある場合には、被害者請求を選択するか、任意保険会社とじっくり交渉するか、を選択することができます。
この場合でも、もちろん被害者請求を選択しても結構です。メリットしては、先程述べたように、早期にある程度まとまったお金を得ることができることの他に、先にまとまったお金を得ておけば、後で訴訟をするときの訴訟額が低くなり、裁判所に納付する印紙額が安くて済む、という点もあります。
逆に、被害者請求をしないままで裁判をする場合のメリットもあります。
それは、遅延損害金が高くなるということです。損害賠償請求額に対する遅延損害金は、事故日から年5%の割合による遅延損害金です。
したがって、損害賠償額が高ければ高いだけ遅延損害金の額も増加します。
訴訟の場合には、多くが和解により終了しているのが現状ですが、もし判決までいった場合には、認容額に事故日から遅延損害金が付加されるので、それだけ最終的に得る金額が高くなります。
したがって、金銭的に困窮していなければ、被害者請求をせずにまとめて損害賠償請
求をするケースが多いです。
過失割合による判断
また、特に高齢者の場合には、場合によっては自賠責保険金3,000万円よりも損害賠償額が低い場合があります。これは働いて得られるはずの逸失利益がない場合があるからです。
更に、自賠責保険では過失相殺という考え方はなく、被害者側の過失が7割以上の場合のみ「重過失減額」があります。したがって、被害者側の過失が大きい場合も、場合によっては自賠責保険に請求した方が損害賠償額が高額になる場合も考えられます。
死亡事故の場合には、以上のようなことを総合的に考えながら、被害者請求をするか
どうかを決めることになります。