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無職者の死亡逸失利益の算定は?
無職者が交通事故で死亡した場合、死亡逸失利益の算定はどのようにするのでしょうか。
死亡逸失利益の算定式は、(基礎収入)×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数 です。
事故時無職であっても、就労能力や就労意欲等があり就労の蓋然性があったと認められる場合には、逸失利益が認められます。
その場合、基礎収入については、失業前の収入や平均賃金等を参考に認定されることが多いでしょう。
平成11年11月22日の東京・大阪・名古屋の各地方裁判所の交通専門部による「交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」(いわゆる三庁共同提言)は、無職者や失業者の基礎収入の認定について次のように運用指針を示しています。
三庁共同提言は、まず、無職者の中でも幼児・生徒・学生の場合には、原則として基礎収入を全年齢平均賃金によるとし、生涯を通じて全年齢平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められない特段の事情が存在する場合には、年齢別平均賃金又は学歴別平均賃金の採用等も考慮するとしています。
また、大学生及びこれに準ずるような場合には、学歴別平均賃金の採用等も考慮するとしています。
それ以外の無職者については、就労の蓋然性があれば原則として年齢別平均賃金によるとしています。
失業者については、再就職の蓋然性のある場合に逸失利益の算定が可能とし、基礎収入については再就職によって得ることができると認められる収入額によるとしています。
そして、その認定に当たっては、失業前の実収入額や全年齢平均賃金又は被害者の年齢に対応する年齢別平均賃金などを参考とするとしています。
さらにおおむね30歳未満の者の場合については、再就職後の予定収入額又は失業前の実収入額が年齢別平均賃金より相当に低額の場合であっても、生涯を通じて全年齢平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合には全年齢平均賃金によるとし、その乖離が大きく蓋然性が認められないような場合には、年齢別平均賃金又は学歴別平均賃金の採用も検討するとしています。
例えば、高校中退後、いわゆるフリーターとしてアルバイトを転々とし、事故の4か月前に離職して求職活動中であった23歳男性については、中卒男性の全年齢平均賃金(平成9年で510万円程度)程度の収入が得られる蓋然性は認められないが、20歳ないし24歳の平均賃金(平成9年で328万円程度)程度の収入を得られる蓋然性があるとし、就労の始期についても、年齢からして近い将来就労先を得る蓋然性が高いとして、24歳からの逸失利益を算定するという具体的適用例も示されています。