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会社役員の死亡逸失利益の算定は?
会社役員が交通事故で死亡した場合、死亡逸失利益の算定はどのようにするのでしょうか。
算定式は、(基礎収入)×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数 です。
役員報酬の中には、①労務対価の部分以外に、②利益配当の実質を有する部分や、③情宜的に交付される部分(例えば若年の親族取締役の生活保障的部分)、④法人税負担軽減のための加算部分などが含まれていることが多く、従業員給与のようにその全額を労務対価と認めることが困難な場合が少なくありません。
税法上役員報酬として損金算入するためには定期同額給与である必要があることから労務対価でない部分もあらかじめ定期同額給与中に織り込まれるといった背景事情や、とりわけ同族会社等においては役員報酬を自由に決められることから、法人税軽減のために報酬を増額して利益を圧縮する等の実態があります。
この点、最二小判昭43・8・2は、個人企業主の事案で、労務対価以外の部分が含まれている場合に、逸失利益を労務対価部分だけに限る労務価値説によることを明らかにしています。
労務対価の判断は?
具体的な労務対価の判断は、
① 会社の規模・同族会社か否か・利益状況
② 当該役員の地位・職務内容(名目的か否か)、年齢
③ 役員報酬の額、他の役員・従業員の職務内容と報酬・給料の額(親族役員と非親族役員の報酬額の差異)
④ 事故後の当該役員及び他の役員の報酬額の推移
⑤ 類似法人の役員報酬の支給状況
などが総合的に考慮されて個別具体的に判断されます。
これらの要素は、総合考慮された上で事故前の報酬の全額あるいは一定の割合を労務対価と認定するものです。