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サラリーマンの死亡逸失利益で昇給、退職金は考慮されるか?
会社員が交通事故で死亡した場合、死亡逸失利益の算定はどのようにするのでしょうか。
算定式は、(基礎収入)×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数 です。
基礎収入
原則として事故前の現実収入を基礎収入としますが、現実収入が賃金センサスの全年齢平均賃金を下回る場合であっても、「平均賃金を得られる蓋然性」が認められれば、全年齢平均賃金によることができます。
将来の昇給は?
昇給規定や同期社員の昇給実態などから一定程度昇給することが確実視される場合に認められる場合があります。
この点、最三小判昭和43年8月27日は、22歳の男性会社員(日立工亊株式会社のちの日立機電工業株式会社)の死亡逸失利益について、同僚の現実の昇給率を基礎に昇給の可能性を推定してこれを考慮して算定した原審の判断を支持しました。
また、下級審判例でも、公務員や大企業の社員の例が多いですが、具体的事情次第で中小企業社員でも認められる例があります。
退職金は?
昇給と同様、退職金が支給されることが一定程度確実な企業等に勤務していた被害者については、定年まで勤務していたら得られたであろう退職金を現価に引き直した額と、実際に支給された死亡退職金の額との差額が、逸失利益として認められます。
なお、定年制が設けられている場合、特に、定年までの収入が相当高額である場合には、定年後もそれだけの収入を維持することが難しいと見られる場合があります。
このような場合には、定年後67歳までの期間は、賃金センサスの60歳から64歳の平均賃金を採用したり、死亡時の実収人に一定割合を減じて基礎収入とされる場合が多いです。