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学生の死亡逸失利益の算定は?
学生のように収入のない人が交通事故で死亡した場合、死亡逸失利益の算定はどのようにするのでしょうか。
算定式は、(基礎収入)×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数 です。
以下、各項目を検討します。
基礎収入
現実の収入に基づくことができませんので、「賃金センサス」という統計数値を用います。
賃金センサスとは、統計法に基づき実施されている賃金構造基本統計調査の報告書のことです。
学生の逸失利益の算定には、原則的に賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・学歴計・男性又は女性の労働者の全年齢平均賃金額を用います。
第1巻第1表の企業規模計は、対象となった労働者数が多く標本誤差率が低いことから、より信用性が高いとされています。
生活費控除率
男性の場合は50%、女性の場合は30%となります。年少女子の場合は、基礎収入に全労働者(つまり男女計)平均賃金を採用した上で控除率を45%とする例が多く見受けられます。
就労可能年数
通常は、就業開始年齢である18歳から67歳までの49年間です。
ただし、被害者が大学生等であったり、大学等に進学することが確実視される場合には、就業開始年齢は18歳ではなく、大学等の卒業時年齢となります。
この場合は、基礎収入について、学歴計平均賃金ではなくて学歴別(大卒)平均賃金を採用しますが、基礎収入が高くなる反面、就業可能年数は短くなりますので、結果的にかえって逸失利益総額が低くなることもあります。
どちらの計算方式によることもできる場合には、留意する必要があります。