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交通事故で死亡した被害者の同居の親の損害賠償
交通事故で死亡した被害者の同居の親は、逸失利益の損害賠償を請求できるのでしょうか。
被害者には子がいて、同居の親は相続人ではないという場合を考えます。
この場合、相続人である子だけでなく同居の親も一定の範囲で逸失利益の賠償請求をすることができる場合があると考えられています。
この点、以下の裁判例が参考になります(大阪判平19・1・3)。
事案の内容は?
母(57歳)や兄弟と同居して同居家族の生活費の一部を負担(月5万円)していた被害者(男・31歳)が死亡しましたが、相続人は子(3歳)のみで、子は離婚した妻に養育されており被害者から養育費(月4万円)を受け取っていたというものです。
子を原告とする訴訟と、母及び兄弟ら3名を原告とする訴訟とが併合審理されました。
裁判所の判断は?
この事案では、被害者本人の死亡逸失利益が算定された後、毋の扶養利益喪失損害が具体的に算定され、残余が相続人子の分とされました。
過失相殺前の認定金額で、被害者の稼動逸失利益3684万円余.そのうち、母親の扶養利益喪失分が922万円余、子の相続分が2762万円余と認定されました。
被害者の稼動逸失利益(基礎収入は実収人371万円余、生活費控除率40%、67歳まで36年問)、母の扶養利益喪失損害による逸失利益を(月額5万円(年間60万円)で母の余命までの期間(30年間))とし、残余の2762万円を子が相続するとしたものです。)。
母の扶養利益喪失損害の認定に当たっては、月の養育費のほうが家計に入れている生活費より少なかったこと、母自身もパート収入があったこと、母が親として被害者の同居の弟妹の扶養義務を負っていたこと、等の様々な事情が総合考慮されています。
被扶養者の中に相続人と相続人でない者がいる事例において、実態に即してかなり具体的に判断したケースです。