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交通事故被害者の近親者の慰謝料は?
交通事故による重度の後遺障害を負った被害者の近親者は、どの程度の慰謝料額が認められるでしょうか。
民法711条は、生命侵害の場合に父母、配偶者、子について慰謝料請求権を認めるだけです。
しかし、被害者本人が生命を害されたにも比肩するような精神的苦痛を受けた場合には、近親者は、民法709条、710条に基づいて、自己の権利として慰謝料請求権があるとされます。
最判昭42・ 6 ・13 は、第三者の不法行為によって身体を害された者の配偶者及び子は、そのために被害者が生命を害された場合にも比肩すべき、又は右場合に比して著しく劣らない程度の精神上の苦痛を受けたときは、自己の権利として慰謝料を請求できるとしました。
最判昭49・12・17は、不法行為により死亡した被害者の夫の妹であっても、この者が、跛行顕著な身体障書者であるため、長年にわたり被害者と同居してその庇護のもとに生活を維持し、将来もその継続を期待しており、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた等の事実関係があるときには、民法711条の類推適用により加害者に対し慰謝料を請求し得るとしています。
以上から、父母、配偶者、子に限らず、被害者と一定の関係がある者については、被害者本人が生命を害されたにも比肩するような精神的苦痛を受けた場合には、自己の権利として慰謝料請求権が認められるということになります。
なお、近親者の慰謝料は、重度後遺障害の被害者本人慰謝料の2割程度を認める裁判例が多くみられるようです。