他覚症状欄のポイント(後遺障害診断書を弁護士が解説)

他覚症状欄はなぜ重要?

後遺障害診断書には、「精神・神経の障害、他覚症状及び検査結果」と記載されている欄があります。

他覚症状とは、医師が医学的知識に基づき症状の存在を確認した場合を言います。

この欄には、症状を確認した医師の所見(他覚所見)と、その根拠を記載します。

症状固定時に残った症状の裏付けとなる医学的所見を具体的に記入してもらう必要があり、その裏付けとして、症状を医学的に証明できる根拠とともに記載してもらう必要があります。

具体的には、X-Pレントゲン、CT、MRIなどの画像所見や、その他、例えば、神経学的検査(神経伝達検査等)の結果、可動域を調べた結果などを詳細に記載(部位によっては、右側の欄)してもらう必要があります。

神経学的検査とは、受傷部を動かしたり、圧迫したりして痛みの有無を見たり、刺激を与えて反射反応の有無、程度を観察したり、筋力の低下を測定するなどして、神経の異常を調べる医学的手法です。

そして、画像が根拠となる場合は、その結果をここに記載し、画像自体も資料として損害保険料算出機構から要求されます。

神経学的検査が根拠となる場合は、検査結果を記載します。

通常、検査結果が症状の存在を示す場合は「陽性」、そうでない場合は「陰性」と記載されます。

この他覚的所見欄の検査結果の記載が、高い等級認定を受けるポイントでもあります。

どのような傷病の場合にどのような検査が必要かについては、部位別・傷病別に異なります。

以下、他覚症状欄のポイントを説明します。

他覚症状欄のポイント

・必要な検査を受ける

・検査結果を詳しく記載してもらう

・申請前に弁護士など専門家に内容を確認してもらう

ポイント①必要な検査を受ける

「他覚症状および検査結果」については、まず交通事故の被害者が、事故直後より、担当医師に症状を適切に伝えていく必要があります。

これをしておかないと、適正な後遺障害等級を獲得するための後遺障害診断書の作成は難しくなってしまいます。

「他覚症状および検査結果」は、適切なタイミングで、適切な病院で、レントゲンやCT、MRIの撮影など必要な検査、処置をしておかなければ、適正な後遺障害の等級認定を得るための他覚的所見を書いてもらうことができない可能性があります。

事故直後より、適切なタイミングで、必要な検査、処置を受け、後遺障害診断書は、できる限り具体的にかつ詳細に、ご自身の症状について伝え、記載していただくようにすることが重要です。

例えば、むち打ち(頚椎捻挫)と診断され、首や頭が痛い、事故直後から手がしびれるのであれば、主治医の先生に必要な検査をしてもらわなければなりません。

レントゲン検査、MRI検査

画像をとってもらうことです。

MRI検査は不可欠ですので、早い段階から実施してもらうべきでしょう。

重要なことは、検査を実施してもらったら

1、異常所見があるかどうか

2、異常所見があるとして、どこにどのような異常があるのか

例)首には頚椎という7つの骨がありますが、そのうち何番目と何番目の間にどのような異常がある。神経根や脊髄の圧迫所見がある。

などを主治医の先生に聞いておくということです。

神経学的検査

以下は、代表的な検査名です。

・ ジャクソンテスト

・ スパーリングテスト

・ 深部腱反射検査

・ 筋萎縮検査

・ 徒手筋力検査(MMT)

・ 知覚検査

・ 握力検査

神経学的検査も、事故後間もない段階から受けておくことが重要といえます。

後遺障害等級認定の際、事故後早い段階の神経学的検査所見も考慮の対象となるからです。

受けた神経学的検査についても、異常所見があるかどうかを主治医の先生に聞いておくことが重要です。

ポイント②検査結果を詳しく記載してもらう

「他覚症状および検査結果」欄に、症状固定時に残った症状の裏付けとなる医学的所見を具体的に記入してもらう必要があり、その裏付けとして、症状を医学的に証明できる根拠とともに記載してもらう必要があります。

具体的にはレントゲン、MRIなどの画像所見や、その他、例えば、神経伝達検査の結果、可動域を調べた結果などを詳細に記載(部位によっては、右側の欄)してもらう必要があります。

そのため、詳細な検査をする必要があるのです。

この他覚的所見欄の検査結果の記載が、高い等級認定を受けるポイントでもあります。

なお、万が一、検査結果で所見が出ていない場合に、所見がないことを記載している診断書を拝見する機会も多いですが、記載があると逆に等級認定機関に対して、後遺障害の認定を否定する理由を与えるだけになってしまいかねませんので、あえて記載する必要はありせん。

どのような傷病の場合にどのような検査が必要かについては、部位別・傷病別に異なります。

ポイント③申請前に弁護士など専門家に内容を確認してもらう

後遺障害診断書の作成が完成し、後遺障害等級認定の申請する前に弁護士などの専門家に確認してもらい、認定のためのアドバイスを受けましょう。

自覚症状、他覚症状欄のほか、症状固定日や入院・通院開始日など、誤りがないか確認しましょう。

症状によっては、どのように痛むのか、どのように痺れるのかといった内容についても、後遺障害診断書に記載してもらう必要があります。

交通事故の経験が豊富な弁護士であれば、どのような記載が認定され易くなるのかポイントを知っています。

弁護士が確認して、もし修正が必要でしたら再度医師に作成してもらいましょう。

むち打ちの14級と12級の違いは医学的証明の有無

むち打ちで首の痛みや手足のしびれが残った場合、神経症状の後遺症として、12級13号、14級9号に該当する可能性があります。

後遺障害12級13号と14級9号の違いは、医学的に証明できているかどうかです。

従って、後遺障害12級13号は医学的に証明できた場合、14級9号が医学的に証明できたとまでは言えないが、医学的に推定できる場合です。

後遺障害12級13号に認定されるためには、MRI画像で神経根の圧迫等が確認でき、神経学的検査で画像と整合性のある個所に陽性の結果が出ていることなど、症状と他覚所見、画像などにより症状が医学的に証明されることが必要です。

よって、これらの所見や検査結果が後遺障害診断書に記載されている必要があります。

後遺障害14級9号に認定されるためには、画像や神経学的検査では証明できないけれども、怪我をしたときの状態や治療の経過、自覚症状の経過等から継続性、一貫性があり、症状が事故による怪我が原因であることが医学的に推定できることが必要です。

よって、それらが確認できるような後遺障害診断書や診断書等を提出しなければなりません。

後遺障害は弁護士法人アルテにお任せください! 阪神尼崎すぐ

当社では、交通事故の後遺障害案件を多数取り扱っており、後遺障害認定、医学的知見を熟知した実績豊富な弁護士が対応します。

また、事故直後より、受けておいたほうがよい検査等を含め、後遺障害の認定に協力的な医師を見つけるためのアドバイスも行っております。

後遺障害診断書作成段階において、当社が、これまで後遺障害等級の認定を取得できたむち打ち等の多くの後遺障害診断書を分析・検討することで、どのような診断書の記載が後遺障害等級の認定に必要かなどを、具体的にアドバイスいたします。

さらに、適切な治療、認定、賠償金の獲得に向けた正しい見通しによる計画を立て、それを実行してきた豊富な経験があります。

弁護士法人アルテでは、交通事故の後遺障害に苦しむ方を助けるため全力を尽くします。

交通事故の後遺障害でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人:弁護士法人アルテ代表 弁護士 中西優一郎

東京大学法学部卒業。東京の外資系法律事務所に勤務し、渉外弁護士として、労働、コーポレート/M&A、ファイナンス等の企業法務に従事。
2012年に兵庫県尼崎市にて開業。2014年に法人化し、弁護士法人アルテの代表に就任。
交通事故の解決実績多数。脳・脊髄損傷等による重度後遺障害案件を多く取り扱っている。交通事故の被害者救済のため、医療機関等との連携を強化。事故直後より、後遺障害等級の認定、適正な賠償金の獲得まで、ワンストップでサポートしている。

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