自転車事故に遭ったらまずすることを弁護士が解説

自転車による交通事故の場合、自動車と比較して重大な事故になることがあります。

自転車は、自動車と異なり、運転者の体が車外に出ていることから、交通事故に遭った場合、衝突による衝撃を身体に直接受けるため、怪我の程度が大きくなってしまう場合があります。

また、自転車事故は、

・加害者が保険未加入の場合が多い

・加害者の資金力不足で損害賠償請求が難しい場合がある

・後遺障害認定機関が無いので被害者の立証の負担が大きい

などの特有の問題点があります。

以下で、自転車事故に遭ったらまずすることをご説明します。

警察への通報

交通事故に遭ったら必ず警察(110番)に通報し、届け出てください。

特に大きな交通事故でない場合、加害者から、警察に通報・届出をしないで終了するよう依頼されることがあるかもしれません。

しかしながら、警察への届出をしないと、保険金請求に必要な自動車安全運転センターが発行する「交通事故証明書」が発行されません。

交通事故証明書

「交通事故証明書」とは、交通事故の事実を確認したことを証明するものです。

自動車安全運転センター法の定めるところにより、自動車安全運転センターの都道府県方面事務所長が、交通事故の当事者が適正な補償を受けられるよう、その求めに応じて、警察から提供された証明資料に基づき、交通事故の事実 を確認したことを証明する書面として交付するものです。

自転車事故であっても、警察に事故報告を行えば、事故証明書が発行されます。

事故による怪我の痛み・障害は、興奮状態にある事故直後ではなく、事故発生から少し時間が経ってから生じる場合があるため、事故直後に安易に示談すること自体避けるべきです。

そして、警察に通報しなければ、交通事故証明書が作成されず、後に障害が発症した後に加害者や加害者側の保険会社に損害賠償金を請求しても、そもそも事故があったこと自体を否定されかねません。

交通事故証明書を作成してもらい、交通事故を交通事故として証明するためにも、まずは警察に通報することが重要です。

実況見分調書

また、交通事故によって被害者が負傷した場合には、現場に駆け付けた警察によって実況見分が行われます。

実況見分は、警察が、交通事故発生直後の事故状況や、双方の事故当事者や現場にいた目撃者の認識をもとに事故態様等を詳細に記録しますので、後に訴訟になった場合でも、事故態様を証明する重要な証拠となります。

警察に通報・届出をしない場合、実況見分等の警察の捜査もされませんので、事故状況につき争いが生じた場合に証拠が存在せず、立証が困難になってしまいます。

警察に通報・届出をしないで当事者間で済まそうとすると、後々大きな問題になりますので、交通事故に遭ったら必ず警察に届け出てください。

(加害者の場合)負傷者の救護、道路における危険防止等

自転車も、道交法上「軽車両」に該当しますので(道交法2条1項8号・11号)、自転車同士の事故の場合、いずれの自転車運転者も、救護義務等の緊急措置義務のほか、事故報告義務(同法72条1項)を負います。

自転車運転者は、事故発生後、直ちに車両等の運転を停止して負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません。

また、自転車運転者は、直ちに警察官に交通事故が発生した日時及び場所、事故による死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊したもの及びその損壊の程度、事故にかかる車両等の積載物並びに事故について講じた措置を報告しなければなりません。

これらに違反すると、処罰される可能性があり(救護義務違反については1年以下の懲役又は10万円以下の罰金:同法117条の5第1号。事故報告義務違反については3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金:同法119条1項10号)、また「ひき逃げ」として処罰される可能性もあります。

自転車同士の事故の場合、自分が被害者と考えていた場合でも、事故報告義務がありますので、必ず警察に通報しましょう。

加害者情報及び自転車の確認

自動車事故の場合とは異なり、加害者は自転車運転時に運転免許証を携帯しているとは限りませんが、警察への通報後、警察が現場に駆け付けるまでの間、あるいは警察が駆け付けてからでもいいので、加害者の運転免許証等の身分証明書を確認し、加害者の身元情報(氏名、住所、連絡先など)を確認しましょう。

また、加害者が自転車保険に加入していたり、自転車にTSマークを貼付していたりする可能性もありますので、保険情報や自転車のTSマークの貼の有無を確認しましょう。

事故後に運転免許証等の提示を求めることは通常行われているので、基本的には加害者も提示に応じてくれると思います。

筆記用具がなければ、携帯電話で運転免許証を写真撮影するのもいいと思います。

可能であれば、運転免許証のほかに名刺をもらい、又は携帯電話の番号を教えてもらいましょう。

もっとも、加害者が運転免許証等の提示に応じてくれない場合は、通報によって現場に駆け付けた警察の立ち会いの下で、身分確認をするのが良いと思います。

また、「今後の話し合いのためにも必要なので」等と説明した上で、写真撮影で加害者の自転車そのものを証拠として保存しましょう。

自転車の破損箇所の写真撮影

自転車同士の接触事故の場合、自転車の破損部位及び傷の付き方等から、事故状況を推測できることがあります。

また、撮影された写真は、自転車そのものの損害額(物損)の確定のための資料にもなります。

自転車の破損箇所を写真撮影しておきましょう。

目撃者の確認

事故現場を目撃した方がいれば、その人から目撃した事故状況を聴取してメモに残したり、目撃者から警察に事故の状況を説明してもらったり、もし可能であれば、後々裁判になった場合に証人として協力してもらう可能性があることを了解してもらい、住所・氏名・連絡先を教えてもらいましょう。

交通事故の場合、事故当事者は自身に落ち度はない(相手が悪い)と思い込んでいることも多く、また事故直後は自らの落ち度を認めていた場合でも後になって主張を翻すことも起こり得ます。

どのような事故態様であったのかは、その場を目撃した人がよく知っていたり、場合によっては目撃者の証言が唯一の証拠になったりすることもあります。

目撃者が、事故当事者にとって中立な立場の方で、かつ証言にも信用性が認められるものであれば、非常に重要な証拠になります。

目撃者は「他人の争いに巻き込まれたくない」と思うかもしれませんが、事情を説明して、事故状況の証言・再現に協力してもらうようお願いしましょう。

保険加入の有無を確認

最近では、自転車事故に関する裁判のニュースが報道されるなどしたことから、自転車事故による損害賠償責任に備えるため、「個人賠償責任保険」などに加入する人も増えてきました。

一部の自治体(例えば兵庫県)では、自転車について賠償責任保険の締結が義務づけられるという動きも出てきています。

また、加害者が加入している別の保険(火災保険など)に、「特約」として個人賠償責任保険が付加されている場合もあります。

また、保険の内容によっては、被害者が人身傷害保険に加入していれば、歩行中の自転車事故に人身傷害保険が適用できる場合もあります。

なお、歩行者が通勤中ないし業務中の場合には、労災保険が適用されることにより、治療費、休業損害等を一定程度カバーすることはできますが、労災保険ではいわゆる慰謝料の給付を受けることができない等の問題があります。

自転車事故が発生したらまず保険を確認するようにしましょう。

医療機関への受診

事故の当日のうちに病院に行き、受診するようにしてください。

事故直後は怪我がないと思い込んで特に手当てをしていなかったが、後になって症状が現れてくることがあります。

また、事故から時間が経過した後に症状が現れて病院で受診した場合、加害者側の保険会社が、事故日から受診日までの期間が空いていることを指摘して、当該症状と事故との因果関係を争ってくることがあります。

交通事故に遭ったらすぐに病院に行き、必要な検査をしてもらうことが大切です。

事故現場で示談しない

事故直後は心も体も興奮状態で、痛みなどもたいしたことが無いから大丈夫だと思ってしまい、相手から不十分な金額を受け取って示談をすることは非常に危険です。

示談書を作成した後になって急に体に痛みが生じ、事故直後は全く気づかなかったような大きな怪我を実は負っていたということもあり得ます。

その場合、(示談書の記載内容にもよりますが)示談書を不用意に結んでしまったために、相手に対して損害賠償請求が出来なくなってしまう可能性があります。

このような事態に陥って初めて弁護士に依頼しても、まず「もう済んだ話だ」と言う相手方と交渉するところからスタートしなければなりません。

実際に一度締結してしまった示談書の効力を否定するのは困難なことが多く、賠償金を得られない可能性も高くなります。

従って、その場で不用意な示談はせず、治療のことは医師に、相手の刑事責任は警察・検察に、損害賠償のことは弁護士に任せましょう。

自転車事故は弁護士法人アルテにお任せください! 阪神尼崎すぐ

当社では、自転車事故を多数取り扱っており、後遺障害認定、医学的知見を熟知した実績豊富な弁護士が対応します。

また、事故直後より、受けておいたほうがよい検査等を含め、後遺障害の認定に協力的な医師を見つけるためのアドバイスも行っております。

後遺障害診断書作成段階において、当社が、これまで後遺障害等級の認定を取得できたむち打ち等の多くの後遺障害診断書を分析・検討することで、どのような診断書の記載が後遺障害等級の認定に必要かなどを、具体的にアドバイスいたします。

さらに、適切な治療、認定、賠償金の獲得に向けた正しい見通しによる計画を立て、それを実行してきた豊富な経験があります。

弁護士法人アルテでは、交通事故の後遺障害に苦しむ方を助けるため全力を尽くします。

自転車事故でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人:弁護士法人アルテ代表 弁護士 中西優一郎

東京大学法学部卒業。東京の外資系法律事務所に勤務し、渉外弁護士として、労働、コーポレート/M&A、ファイナンス等の企業法務に従事。
2012年に兵庫県尼崎市にて開業。2014年に法人化し、弁護士法人アルテの代表に就任。
交通事故の解決実績多数。脳・脊髄損傷等による重度後遺障害案件を多く取り扱っている。交通事故の被害者救済のため、医療機関等との連携を強化。事故直後より、後遺障害等級の認定、適正な賠償金の獲得まで、ワンストップでサポートしている。

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