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失行
1 症状の内容
失行とは、それぞれの身体の機能には障害がないにもかかわらず、行おうとする運動をできない状態をいいます。
失行には、①観念失行、観念運動失行、肢節運動失行、②口腔顔面失行、③着衣失行、④構成失行があります。
①-a観念失行とは、物を使っていくつかの動作を組み合わせて一連の動作をすることができない症状をいいます。例えば、お茶の葉を急須に入れて、お湯を注いで、急須から湯飲みにお茶を注ぐというような動作です。
①-b観念運動失行とは、物品を使用しないでする動作ができないことをいいます。例えば、「おいでおいで」と手招きをする動作ができない、「バイバイ」と手を横に振る動作ができないような場合です。
①-c肢節運動失行とは、身体の一部を使って細かい動作をすることができない状態をいいます。例えば、衣服のボタンを留めることができない、箸を使って食事することができない、足でボールを蹴ることができないなどです。
② 口腔顔面失行とは、口や顔面の運動が意図的にできないことをいいます。例えば、ウインクする、口を開ける、舌を出すなどの行為を意図せずに無意識にすることはできても、意図的に動かすことができない状態です。
③ 着衣失行とは、日常生活において、衣服を適切に着ることができない状態をいいます。衣服の上下、裏表、左右の区別、ボタンをかけるなどができない状態をいいます。
④ 構成失行とは、構成対象の部分を空間的に配置して全体的なまとまりのある携帯を形成することができない症状をいいます。わかりやすく言うと、見えた物を空間的に把握できないという症状です。簡単な図形の模写や積み木の組み立てができない症状を言います。
2 症状例
・歯ブラシと歯磨き粉を渡してもどうやって使うのかわからない。
・衣服のボタンの掛け違いをなおすことができない。
・お茶の葉を急須に入れて、お湯を急須に注いでお茶を入れることができない。
3 家族の対応方法
まず、本当に失行なのかどうかを見極める必要があります。つまり、運動障害、感覚障害等がないかどうか、それぞれの器官は正常であるのに、できないのが失行に当たります。素人判断は難しいと思いますので、専門家の先生に評価してもらいます。
道具の使い方がわからないような場合は、一つ一つ新たに学習していく必要があります。本人は、やる気があってもできない状況なので、できないことに怒ったりしてはいけません。また、あるときはできても、できるときとできないときが出てくるのが失行の特徴なので、そのことをあまり言うことは好ましくありません。
4 必要な検査
標準高次動作性検査(SPTA)
WAB失語症検査
標準高次視知覚検査(VPTA)
ベントン視覚記銘検査
など