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失認
1 症状の内容
失認とは、視覚、触覚、聴覚などの感覚機能は正常であるにもかかわらず、ある一つの感覚を介して、対象物を認識することができない症状をいいます。
失認の症状がある感覚以外のルートを介せば認識可能な場合もあります。例えば、目で見てもそのものが何か認識できない場合であっても、耳で聞けばそれがなんであるか理解できると言うこともあります。
失認は、大きく分けると4つに分けられます。
①視覚性失認、相貌失認、聴覚性失認、触覚性失認
視覚性失認とは、視力や視野に問題がなく、目の器官自体は正常であるにもかかわらず、その物を見て、対象が何であるかがわからないという症状をいいます。
相貌失認とは、家族や友人、職場の同僚などのよく知っている人の顔を見て、誰であるかがわからない症状を言います。顔を見ても誰かはわからないけれど、声を聞けば誰かがわかるということもよくあります。
聴覚性失認とは、聴力はあるが、その音が何であるのかが認知できない症状を言います。例えば、自宅のインターホンの音がなっても、それが何を意味するのかわからないという症状です。
触覚性失認とは、触覚等が正常であるにもかかわらず、触った物がなんであるのかわからないという症状を言います。
いずれにも共通するのは、目や耳などそれぞれの器官は正常であると言うことです。目に異常があって見えない、耳に異常があって聞こえないと言うことではなく、目で見た物が何であるのか、聴いた物が何であるのか、脳が判断できない症状を言います。
②半側空間無視
半側空間無視とは、文字通り、前方の視野の半分を認識できないという症状をいいます。理論上は、右半側空間無視もありますが、症状としては軽く、後遺障害として残るのは圧倒的に「左半側空間無視」が多いと言えます。
症状としては、顔や視線が右側を向いていたり、左側から刺激が入っても、気づかないという症状があります。例えば、食事の際に、左側におかれた皿の食べ物には手をつけず食べない、ノートにメモするときには、左側には空白が残り、右によせて書く、本の左側のページを読まない、左側にいる人とぶつかったり、左側の壁にぶつかるという症状があります。
③身体失認
身体失認とは、文字通り、自己の身体を認識することができなくなる症状を言います。例えば、体の左半身に麻痺があるにも関わらず、そのことに気がつかなかったり、体の半分の存在にすら気がつかなくなってしまうこともあり、整髪の際に片側だけ整髪する、ひげを剃るときに片側だけそって、そり残しに気がつかないなどの症状があります。
④病態失認
病態失認とは、自分の病いに気がつかない症状を言います。
目が見えないのに、見えているかのように振る舞って失敗したり、「意味をなさない発言(ジャルゴン発話)」をして、相手に話が通じていないのに、そのまま話を続けるなどの症状が見られます。また、自分の記憶力が落ちていることを自覚はしていても、深刻さに欠けるため、客観的に判断される記憶力の低下よりも軽く認識していることもあります。
2 症状例
・よく知っているはずの人の顔がわからない。
・左側の壁や人にぶつかる。
・食事の際、左側のおかずなどに手をつけない。
3 家族の対応方法
左側半側空間無視がある場合は、当初は右側から話しかける、右側に必要なものをおくなどの情報を右側から入れるようにして、徐々に左にも注意を向けられるようにしていくことが重要です。
左側の食べ物を残してしまう場合は、左側にも皿があることの注意を促すなどしていく。
相貌失認の場合は、顔を見てもわからなくても、声を聞けばわかることもあります。
4 必要な検査
標準高次視知覚検査(VPTA)
聴性脳幹反応(ABR)
など