社会的行動障害

1 症状の内容

社会的行動障害とは、対人関係を円滑に進められない障害をいいます。

社会的行動障害は大きく分けると4つに分かれます。

①人格機能の低下

人格機能の低下とは、具体的には依存性や退行を意味します。つまり、大人が子どもと真剣にチャンネル争いをしたり、父親が子どものお菓子を取り上げて食べてしまったりすることもみられます。

また、一人で買い物に行ったりすることが不安で誰かが付き添っていかないとダメだったりすることがあります。

②自己制御の低下

自己の感情をうまくコントロールすることができず、些細なことでも激怒したり、ちょっとでも気に入らないと怒鳴り散らしたりするようになったりします(感情のコントロール)。

また、好きな食べ物を好きなだけ食べてしまうと言うような自分の欲求を抑えられない症状が現れることもあります(衝動・欲求のコントロール)。一つの事にこだわり、状況に合わせて柔軟に対応したりすることが困難になることもあります(固執性)。

見知らぬ人が、ちょっとしたマナー違反をすることが許せず、公共の場で注意をしたりすることによりトラブルを招くこともあります(独善的な処罰感情)。

③対人技能拙劣

相手の気持ちを察したり、場の空気を読むことが困難になります(メタメッセージの解読困難)。

その場の空気を考えずに、その場に合わない自分の話を延々としたり、周りの人が困るような状態になります(談話障害)。

また、キャッチセールスの人の話を本気にして高額な商品を契約してしまうこともあります(被影響性の拡大)。

④意欲の低下

自発的な行動をとることができず、一日中ベッドで寝ているなどの症状が見られます。

2 症状例

・何かを覚えようとしても、覚えられない。

・異性のメールアドレスを教えてもらったので、相手の都合に関係なく、一日数十通のメールを送信してしまう。

・自分が決めたことにこだわり、就寝時間がすぎても終わるまでやろうとし続ける。

・友達の輪に入れない。

・順番を待ったりするなど、我慢することができない。

・周囲の状況を考えずに、ささいなことで注意をして、トラブルになる。

・何事にも無関心で、やる気がない。

・どこに行くのにも一人では行けず、誰かに付き添いをお願いする。

・残ったお菓子を誰が食べるかで、子どもと本気でけんかする

・生活の事を考えずに、ネットショッピングで毎月異常な金額の買い物をする。

・夕食はハンバーグという予定だったのが、材料がなくて、別のメニューにしたら激怒する。

・特定の事にこだわり、シャンプーがもったいないからと洗髪をしない。

・ささいなことで、急に激怒するため、周りの人が困ってしまう。

・周囲のことを全く気にしない。急な仕事が入って、周りの人が慌てて、ばたばたしているのに、自分だけいつものようにマイペースで仕事をしている。

・話をしているうちに、話がどんどんずれてしまい、何の話をしているのかわからなくなってしまう。

・学生の場合、周囲の状況が気になって、授業に集中できない。

3 家族の対応方法

本人が行動記録をつけて、だれに、どういう状況で、どういうときにどういう言動をしたのかを記録させる。その中から、エッセンスを抜き出して、どういう場合に急に怒り出すのかなどのてがかりを見つける。そのような原因を減らすように環境調整をしていく。これらは、専門家の援助がないと難しいかもしれません。

興奮状態にあるときに、過度に注意したり制止したりすることは良くないので、そのような場合は原因から引き離し、後で話し合うことが有効です。

無気力な場合は、一緒に目標設定をし、その達成まで一緒に付き合うことや声かけ等を適切に行うことが重要になります。

急に怒り出すような場合は、原因が決まっているようなこともあるので、その原因を特定し、そのような原因に近づけないことも大切です。


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