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醜状障害
外貌醜状とは
外貌の醜状障害のことをいいます。
「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部など、日常露出する部分のうち、上肢及び下肢以外の部分をいいます。
障害補償の対象となる外貌の醜状とは、人目につく程度以上のものでなければならないと考えられています。
外貌醜状に関する障害認定基準は、以下のとおりです。
平成23年5月2日改正後のもの
区分 | 等級 | 程度 |
---|---|---|
外貌 | 7級12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの |
9級16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの | |
12級14号 | 外貌に醜状を残すもの |
(財団法人労災サポートセンター「労災補償障害認定必携」参照)
※「著しい醜状」
原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のもの
- 頭部にあっては、手のひら大(指の部分は含まない。以下同じ。)以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
- 顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没
- 頸部にあっては、手のひら大以上の瘢痕
※「相当程度の醜状」
原則として、顔面部の長さ5cm以上の線状痕で、人目につく程度以上のもの
※「単なる醜状」
- 頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
- 顔面部にあっては、10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3cm以上の線状痕
- 頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕
基準の改正
外貌醜状について、自賠責保険における等級認定表は、平成23年に改正されています。
改正前は、障害が同じ程度であっても男性は女性より低く扱われていました。
しかし、京都地裁平成22年5月27日判決において、外貌の著しい醜状障害の等級について男女間で大きな差が設けられていることは合理的理由なく性別による差別的取扱いをするものとして憲法14条1項に違反するとされたのを受け、改正されることになりました。
自賠責との関係においては、平成22年6月10日以後に発生した事故については、遡及して適用されます。
外貌醜状と逸失利益
外貌醜状に関する後遺障害については、それ自体が身体機能に影響を与えるものではないことから、労働能力喪失の有無及び程度をめぐって裁判上、争いになることが多いです。
裁判では、外貌醜状による逸失利益について、性別や年齢、職業等を勘案し、労働能力にどのような影響を与えるかを考察しており、逸失利益を肯定する事例、否定する事例に分かれています。
近時の裁判実務上の傾向を踏まえると、(ⅰ)被害者の性別、年齢、職業等を考慮した上で、醜状痕の存在のために配置転換させられたり、職業選択の幅が狭められるなどの形で労働能力に「直接的な影響を及ぼすおそれのある場合には、一定割合の労働能力の喪失を肯定し逸失利益を認める、(ⅱ)労働能力への直接的な影響は認められなくても、対人関係や対外的な活動に消極的になるなどの形で「間接的」に労働能力に影響を及ぼすおそれが認められる場合には、後遺障害慰謝料の加算事由として考慮し、原則として100万円~200万円の幅でこれを増額する、(ⅲ)これら以外の場合には慰謝料も増額しないという傾向があります。