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「後遺障害診断書」で知っておきたいポイント
適正な後遺障害等級認定のために診断書は重要
後遺障害の診断書は、症状固定した時に医師に作成してもらうことになります。
そして、後遺障害の診断書の他、XP・CT・MRIの画像、報告書など必要書類を準備して、後遺障害等級認定の申請を行ないます(被害者請求)。
後遺障害等級認定の判断に際して、後遺障害の診断書は、極めて重要な資料となります。
この後遺障害診断書の内容次第で、適正な等級認定を得ることができるかどうかが大きく決まります。
交通事故の被害に遭われた方の多くは、初めての交通事故であるため、「後遺障害の診断書は普通の診断書と何が違うの?」、「後遺障害の診断書に何を書いてもらえばいいの?」など、ご質問やご不安をお抱えになられると思います。
後遺障害の診断書とは、正式には、自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書といい、自動車損害賠償責任保険における後遺障害認定のためのものです。
交通事故に起因した精神・身体障害とその程度について記入されます。
以下が後遺障害の診断書です。これを医師に作成してもらいます。
事故直後より適切な対応をして診断書を書いてもらう
後遺障害の診断書に書いてもらうことは、主に、
(1) 傷病名
(2) 自覚症状
(3) 他覚症状および検査結果
があります。
(1)「傷病名」については、事故当時から診断書に記載されていますが、(2)「自覚症状」、(3)「他覚症状および検査結果」については、交通事故の被害者が、事故直後より、担当医師に適切に伝えていく必要があります。これをしておかないと、適正な後遺障害等級を獲得するための後遺障害診断書の作成は難しくなってしまいます。
特に、(3)「他覚症状および検査結果」は、適切なタイミングで、適切な病院で、レントゲンやCT、MRIの撮影など必要な検査、処置をしておかなければ、適正な後遺障害の等級認定を得るための他覚的所見を書いてもらうことができない可能性があります。
事故直後より、適切なタイミングで、必要な検査、処置を受け、後遺障害診断書は、できる限り具体的にかつ詳細に、ご自身の症状について伝え、記載していただくようにすることが重要です。
後遺障害診断書のポイント
以下、後遺障害診断書の重要なポイントをご説明します。
自覚症状の欄
交通事故の怪我により、日常生活や仕事にどのような支障があるかということまで、出来る限り具体的に記載をしてもらいましょう。
例えば、日常生活や仕事に影響を及ぼしていることを訴え、そのことを「~の痛みが原因で…できない」という記載をしてもらうことが有効です。
この欄で足りない場合、別紙で詳細を記載する方法もあります。
他覚的所見が乏しい場合も多い、むち打ち症による後遺障害でも等級認定が認められる場合も多いです。
また、交通事故当初からの医学的所見と、それと一致する詳細な自覚症状の記載により等級認定が認められる例も多くあります。
ただ、医学的所見と一致しない自覚症状の場合、信用性を疑われてしまう場合もあるので、注意が必要です。
他覚的所見
この欄の記載がもっとも重要です。
この欄に、症状固定時に残った症状の裏付けとなる医学的所見を具体的に記入してもらう必要があり、その裏付けとして、症状を医学的に証明にできる根拠とともに記載してもらう必要があります。
具体的にはレントゲン、MRIなどの画像所見や、その他、例えば、神経伝達検査の結果、可動域を調べた結果などを詳細に記載(部位によっては、右側の欄)してもらう必要があります。
そのため、詳細な検査をする必要があるのです。
この他覚的所見欄の検査結果の記載が、高い等級認定を受けるポイントでもあります。
なお、万が一、検査結果で所見が出ていない場合に、所見がないことを記載している診断書を拝見する機会も多いですが、記載があると逆に等級認定機関に対して、後遺障害の認定を否定する理由を与えるだけになってしまいかねませんので、あえて記載する必要はありせん。
どのような傷病の場合にどのような検査が必要かについては、部位別・傷病別に異なります。
予後所見欄
予後所見欄も重要です。
「緩解の見通しはない」や「上記の症状を残し症状固定とする」などと記載されていることが理想的です。
この欄の記載は、補償期間を決めるポイントにもなるので注意が必要です。
障害が将来増悪する可能性のある場合には、新たな後遺障害が発生する可能性もあるため、将来の再評価の必要性についても必ず記載しておく必要があります。
医師に後遺症診断書を作成してもらう際の注意点は?
後遺障害診断書は、医師によっては丁寧に細部まで書かれることもあれば、簡潔に書かれる場合もあります。
そのため、後遺障害診断書を受け取ってすぐに保険会社に渡してしまうと、診断書の内容によっては「障害なし」と認定されてしまう場合があります。
また、将来的に症状が悪化する可能性が書かれているかどうかで、逸失利益の年数制限が変わることもあります。
後遺障害に詳しい弁護士に確認してもらうほうがいいです。
また、後遺障害診断書を医師に作成してもらったり、加筆をしてもらう際に気をつけなければならないことがあります。
それは、医師があまり診断書の作成に積極的でない場合があることです。
診断書の作成は医療行為ではないことや、医師側からすれば治らなかった(完治しなかった)ことについて記載することになるからです。
交通事故被害者にとって、後遺障害診断書は重要な書類です。
しかし、医師から見れば治療ではなく書類作成に忙しい時間を裂かなければならないのです。
診断書は作成をお願いして作ってもらいます。
こちら側からお願いする、という立場なので無理を言うわけにはいきません。
かといって、作成してもらわなければ後遺障害の認定には不可欠です。
医師が忙しいことと、あまり関心を示さないこともあることを理解した上でお願いしましょう。
ただ、医師も様々な方がいますので、こちらが敬意を払っても治療先の医師が積極的でない場合には、早期に他の医療機関に診断を受けることをお薦めしています。
その結果、例えば可動域制限が大きく変わったり、神経損傷が検査によって明らかになったりして、認定等級が上がり、より多額の賠償を受けることができたという方が多くいらっしゃいます。
交通事故に遭い、後遺障害診断書の作成にお困りでしたら、まずは弁護士にお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人:弁護士法人アルテ代表 弁護士 中西優一郎
東京大学法学部卒業。東京の外資系法律事務所に勤務し、渉外弁護士として、労働、コーポレート/M&A、ファイナンス等の企業法務に従事。
2012年に兵庫県尼崎市にて開業。2014年に法人化し、弁護士法人アルテの代表に就任。
交通事故の解決実績多数。脳・脊髄損傷等による重度後遺障害案件を多く取り扱っている。交通事故の被害者救済のため、医療機関等との連携を強化。事故直後より、後遺障害等級の認定、適正な賠償金の獲得まで、ワンストップでサポートしている。