外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折等で後遺障害等級2級を取得し、損害賠償金約4000万円を獲得。将来介護費が認められる。

ご依頼者;70代女性、主婦

傷病名;外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折等

後遺障害等級;2級1号

交通事故の発生状況

ご依頼者(70代女性・主婦)が道路を横断中、自動車に衝突されました。

ご相談・ご依頼のきっかけ

ご依頼者は、交通事故により、外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折等の怪我をされ、入院しました。

退院後、通院を継続し、症状固定となりました。

ご依頼者は、保険会社との対応をこれ以上ご自身で続けることが精神的負担となり、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

当事務所の活動

当事務所は、治療中(症状固定前)より受任して、保険会社との対応をすべて引き受けました。弁護士が受任することにより、以後、ご依頼者及びご家族が安心して治療に専念していただけるような環境を整えました。

そして、弁護士が、保険会社の対応をすべて引き受けました。

 

その後、症状固定しましたが、外傷性くも膜下出血により意識障害などの後遺障害が残りました。

また、今後、日常生活をしていくに際し、介護が必要な状態となりました。

 

そこで、当事務所が、医師による後遺障害診断書の作成をアドバイスして、被害者請求をサポートしました。

当事務所の弁護士が、これまで後遺障害等級の認定を取得できた多くの後遺障害診断書を参考に、どのような診断書の記載が重要かなどを考慮して、医師に必要な事項を照会しました。

 

そして、医師に必要な検査をして後遺障害診断書の所見を詳細に記載していただきました。また、日常生活状況報告書などを作成して、現在の日常生活でどのような支障が生じているか具体的な証拠資料とともに準備しました。

かかる所見をもとに、後遺障害等級2級1号を取得しました。

 

そして、当該等級結果をもとに保険会社と示談交渉を行いました。

保険会社は、介護費(将来介護費)に関しては一切認めないと主張してきました。

また、過失相殺について、裁判で判決に至った場合に想定される割合より多く主張してきました。

その他、通院慰謝料、後遺障害慰謝料に関して、裁判基準より低い金額を提示してきました。

 

そこで、任意の交渉ではまとまらないと判断し、訴訟提起を行ないました。

訴訟では、主に、

・介護費(将来介護費)

・過失相殺

が争点となりました。

 

以下、各争点について、解説します。

将来介護費とは

将来介護費とは、交通事故によって一定の後遺障害が残って介護が必要になった場合の将来の介護費用のことをいいます。

 

交通事故の後遺障害で、意識が回復しなくなったり身体がまったく動かなくなったりして、自分一人では生活していくことが難しくなった場合、介護が必要になりますが、介護を受けるには費用がかかるので、その将来の介護費を損害賠償の内容として請求することができます。

 

但し、交通事故の中でも、将来介護費が認められるケースは限られています。

基本的には、後遺障害1級と2級に該当するケースで、その中でも一定の症状があるケースに限定されています。

 

具体的な症状としては、交通事故が原因で遷延性意識障害になった場合(いわゆる植物人間状態)や高次脳機能障害が重度のケース、脊髄損傷で身体が動かなくなったケースなどで該当することが多いです。

なお、後遺障害3級以下のケースでも、症状に応じて将来介護費が認められることがあります。

 

将来介護費が認められる場合、下記の計算方法で算出されます。

 

「1年の介護費用」×「症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数」

 

1年の介護費用については、基本的には家族による介護の場合は1日8,000円となりますが、職業介護人を雇った場合には、実費となります。

 

本件では、当事務所の弁護士より、交通事故以前は通常の生活を送れていたにもかかわらず事故を原因として介護が必要となったこと、外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折により介護無しで日常生活を送ることは不可能であることを述べて、将来介護費を認めるよう主張しました。

 

特に、外傷性くも膜下出血により、意識障害などが出ており、会話が不自由になるなどの症状について、事実経緯を証拠と共に詳細に主張し、将来介護費を認めるよう裁判所に主張しました。

その結果、将来介護費につき裁判基準による賠償額が認められました。

 

また、過失割合に関して争点となったので、当事務所の弁護士が実況見分調書を取り寄せ、類似事案の裁判例を挙げて適正な割合となるよう、主張しました。

 

以上の経緯を経て、裁判所の判決により、損害賠償金約4000万円を獲得して解決することができました。

当事務所が受任した結果

後遺障害等級2級1号を取得。

将来介護費が認められる。

・通院慰謝料、後遺障害慰謝料に関して、裁判基準に増額。

外傷性くも膜下出血について(参考)

くも膜下出血は脳動脈瘤が破裂することで引き起こされる病気ですが、交通事故が原因の外傷性のものは、頭部へ強い衝撃を受けることにより、くも膜と軟膜の間にあるくも膜下腔が出血した状態をいいます。

 

脳の表面は3層の髄膜によって覆われており、内部から1層目が軟膜、2層目がくも膜、3層目に硬膜という順になっています。

くも膜と軟膜の間には髄液が循環しており、その部分がくも膜下腔です。

 

多くの場合、強い衝撃を受けることで生じた脳挫傷での出血が、徐々にくも膜下腔へと広がっていくことで発症すると考えられています。

 

外傷性のくも膜下出血は、衝撃の重症度や出血量によって症状の現れ方が異なってきます。

症状の出始めでは、激しい頭痛が起こるのが一般的です。

その症状のほかに吐き気や嘔吐などを伴うこともあります。

 

症状が軽度の場合は軽い頭痛程度で済むこともありますが、重症化すると意識障害やこん睡状態などに陥ることもあるため、交通事故で頭に強い衝撃を受けた場合には、特に注意が必要となります。

 

このくも膜下出血は、脳挫傷が原因の予後に起こることが多いため、脳挫傷から発展した外傷性のくも膜下出血であるという診断が付きにくいことも少なくありません。

 

交通事故によって引き起こされる外傷性くも膜下出血では、同時に直接的に受けた脳損傷(直接損傷)と、間接的に受ける脳損傷(対外損傷)の2つも引き起こす可能性があり、交通事故の場合には前頭葉への障害が起きやすいと言われています。

 

間接的に起こる対外損傷では、広範囲で脳が破壊される挫滅を起こす可能性があります。

挫滅が起こると、症状が治まった後も高次機能障害として後遺症が残ってしまう可能性が高くなります。

 

高次機能障害としては、意識障害や体の麻痺やてんかんなど様々な症状が起きてきます。

また、記憶にも障害が残ることが多く、見当識や記憶障害、健忘、記憶低下などを伴うこともあります。

 

後遺症と確定するまでには約1年~2年かかるとされているので、その間にしっかりとリハビリを行うことで、徐々に回復する可能性も十分にあります。

 

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